STAOFJAPAN 技術紹介

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撥水
コーティング

型番

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【1】 型番

代表的な型番を紹介します。
現在はフッ素を含有するPhobicon41とPhobicon43は供給を停止しています。

型番 用途 フッ素
Phobicon41 厚塗り(数100nm) 含有
Phobicon43 薄膜表面処理 含有
Phobicon51 厚塗り(数100nm) フッ素フリー
Phobicon53 薄膜表面処理 フッ素フリー
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用途

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【1】 Phobicon41の用途

【1-1】 PV用ARC:低反射、防汚

PVモジュールの出力はカバーガラスによって8-10%ほど低下します。ARCとは低反射コートでガラス表面の反射光を入射光に変換することで出力を上げる必須部材です。ARCによって出力は3-4%上昇します。
ARCの膜厚は厳密に制御され、黄色(555nm)の約1/4が理想値です。
しかし実際には厳密な制御を行わなくても十分な採光効果が得られることからより低価格な中国製ARCが主流になっています。中国製は1m2あたり20円という驚きの価格です。

ARCを塗布したガラスの反射は右のように変化します。ARC施工ガラスの方が反射が低いです。
反射が減る=透過光が増える=太陽電池セルの出力が上がる、というメカニズムです。

中国の他社製ARCは採光に特化しており防汚性能は皆無です(むしろベアガラスの方が防汚性が良い)
Phobicon41は撥水性能による防汚性があり中国の国家認証機関で試験して頂いたところ優れた防汚性を示しました。
日本語表記でなく申し訳ありませんが右に結果をまとめたPDFを貼ります。
現在はより防汚性に優れたPhilicon12を同用途で販売してます。

もう一度PB41の撥水性と防汚性をまとめた動画を載せます。
粉塵などの粒子系に対しては撥水コートはかなり効果があります。

【1-2】 PV用抗PIDコート:撥水

結晶シリコン系PVモジュールの出力は経時とともに徐々に下がります。この現象をPIDと呼びます。
PIDは湿度や降雨量など様々な因子で加速され、場合によっては数ヶ月で半分以下の出力になることもあります。かつてはスペインやイタリアなど欧州で大問題になりました。
日本ではモジュールの電圧が他国に比べて低い(欧州や中国:1000V、日本:600V)のでPID速度も遅いのですが劣化が起きます。
現在は素材メーカー、セルメーカー、パワコンメーカー、モジュールメーカー達の努力によりPIDフリーに近い対策済みモジュールに切り替えて生産されています。しかしこういったPID対策はモジュールの組立工程かそれ以前の工程で成される為、既に市場に設置されPID対策がされていないモジュールは対策済みモジュールに置き換えるしかありません。
そこでSTAOFJAPANは既設のモジュールにも効果がある対策方法を考えました。それがPhobicon41のコーティングです。
その効果を右に示します。
MPPとは何かを説明すると長くなるので、実行上の最大出力と見なして下さい。またここで行ったPID加速試験は85℃85%RH環境で1000V・96時間の通電負荷を与えています。試験は中国の国家認証機関:CPVTが行っています。
結果は大きな差が見て取れます。PID対策の無いモジュールでは40%近く出力が落ちましたがPhilicon41を的確な場所に塗布すると1%以下の劣化率です。写真で試験後に白く見えなくなったセルが劣化を起こし十分な発電が出来ていないセルです。

MPP 減衰率
(%)
無塗布モジュール 初期 242.967 39.98
PID試験後 145.82
塗布モジュール 初期 247.8 0.69
PID試験後 246.085

しかしこの突出した技術もPVモジュールがPID対策済みモジュールに置き換わることでそろそろ不要になります。
まだまだ古いモジュールもありますが、市場が縮小していく傾向は変わらないでしょう。

【1-3】 汎用撥水コート:撥水

キッチン周りなど汎用です。
車のボディーは効果がありますが一度塗布するとまず剥がせません。やり直しがきかないのでお勧めではないです。
最も不適な用途は浴室や洗面室の鏡です。撥水コートは曇りメーカーです。この用途は親水系しか使えませんので注意して下さい。

【1-4】 照明器具:光透過

照明器具には今でも多くのガラスが用いられています。またLED照明ではポリカーボネートも採用されています。
こういった外装部により光透過率を上げるコーティングを行うと明るさは増します。
ポリカーボネートはガラスに比べると若干光透過率に劣りますが割れないというメリットがあります。 しかしポリカーボネートはコーティングを施すには難のある材料で、アルコールを除くほとんどの溶剤によりソルベントクラックと呼ばれる微細ひび割れが生じ白くなります。
類似の用途として車のヘッドライトカバーもあります。 今はヘッドライトカバーのほとんどがポリカーボネート製です。 Phobicon41はヘッドライトのハードコーティング、防汚、照度アップと多機能な効果があります。
また、Phobicon41はポリカーボネートにダメージを与えにくいエタノール系のコーティング剤ですので安心して使用出来ます。

【2】 Phobicon43の用途

【2-1】 フロントガラス:撥水

Phobicon43は主としてフロントガラス用に開発しています。右図の①に当たります。
サイドガラスやリアガラスに付いては撥水がいいか親水がいいか意見も分かれると思いますが、フロントガラスに関しては親水はお勧め出来ません。

3点ほど動画を乗せておきます。
3つめの動画が注目です。ウィンドウォッシャー液を掛けています。向かって右半分にPhobicon43を塗装していますがウォッシャー液(洗剤水)でも濡れ広がらず水滴になり滑り落ちます。

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使用方法

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【1】 保管

直射日光を避け、容器を密閉し換気の良い冷暗所に保管して下さい。

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【2】 塗布前作業

風が強い状態や基材表面が熱い状態では塗布を控えて下さい。
マスクやメガネ、保護手袋など保護具を装着して下さい。

塗布する素材の表面をきれいにしてください。
洗浄する際には界面活性剤は用いた場合は水で十分に洗い流して下さい。
ガラス表面に対しては最終仕上げにPhilicon13の使用をお勧めします。

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【3】 塗布作業

スプレーボトルはよく振ってからご使用下さい。
スプレーノズルと素材との距離は10~15センチが適当です。
スプレーボトルを滑らかに左右に動かしながらスプレーすると薄く均一な塗膜が得られます。

スプレー以外にもスポンジローラーも使用出来ます。

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【4】 塗布後

塗布後しばらく放置すると乾きますが、硬化反応が進むまで約半日お待ち下さい。

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撥水撥油学

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【1】 撥水撥油について

撥水撥油は事実上全ての液体を撥するということであり、英語ではomniphobicと表現されることが多いです。超親水コートや超撥水コートに比べて最も歴史のあるコート材分野です。
ただし、撥水に関しては接触角から超親水:接触角10度以下、親水、撥水:接触角90度以上、超撥水:接触角150度以上と区分されますが撥油にはそのような区分がありません。

【1-1】 撥油とフッ素に関して

現在撥油性に優れた材料はフッ素系です。フッ素が表面にあると表面張力が極めて小さくなり油や有機溶剤でも自身の表面張力で玉状になり得ます。
その安定性ゆえにCFCやHCFCなど特定フロンなどは容易に分解出来ず大きな環境問題になりました。今はHFCなど代替フロンに置き換わっています。
次にフッ素が問題になったのはPFOA、PFOSです。業界ではC8と呼んでいます。日本では2021年10月よりPFOA(ペルフルオロオクタン酸)とその塩を用いて撥水性能又は撥油性能を与えるための処理をした衣服等について輸入禁止措置等がとられるようになりました。今まで多くの撥水コート剤に使用されていた原料なので影響も小さくないかも知れません。

【1-2】 前進角と後退角

撥水性の接触角を語る場合に、静的接触角と動的接触角があることについて語る必要があります。 静的接触角は通常の測定方法です。 一方で、基材に着いた水滴が滑り易いかどうかという基準に動的接触角と言うものがあります。右図を参照してください。通常水滴が滑る際に、進行方向側(下側)の接触角θaと後ろ側(上側)の接触角θrが出来ます。θa>=θrの関係になります。
θaとθrの差をヒステリシスといい、ヒステリシス値が小さいほど水滴が滑落し易い傾向にあるようです。

【2】 STAOFJAPANの技術

STAOFJAPANの撥水撥油コート剤はフッ素を含有していません。

優れた撥水コート剤と布・織物類の組み合わせは超撥水に近い状態を示します。これは布・織物類の構造を母体として大きな凹凸と小さな凹凸が組み合わさり大きな表面積の構造が作られるからです。
右の動画はSTAOFJAPANの試作品を用いていますが市販品の撥水コート剤でも同じような性能が得られます。

右の動画はガラスシャーレにPhobicon43を塗布した後エタノールを垂らして挙動を見ています。
Phobicon43の塗膜上では22.6dyne/cmと表面張力の小さいエタノール(水の1/3以下の表面張力)でも寄り集まり半球状になります。
このようにどんな液体でもはじく性質をomniphobic/オムニフォビックと呼びます。

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FAQ

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【1】 性能について

塗膜は透明ですか?
極めて透明です。
またいくつかのコーティング剤にみられるような虹模様(干渉縞)を起こさないような薄い膜厚に仕上がります。
Phobicon41について:なぜ光透過率が上がるのですか?
以下の3つの技術の組み合わせです。
  • 可視光領域で光の吸収がほとんどないこと
  • 塗膜の屈折率が小さいまたは表面構造があり反射率が小さいこと。
    塗膜の屈折率と空気の屈折率(=約1.0)との差が大きいと反射率は大きくなり、小さいと反射率も小さくなります。
    通常の青板硝子の屈折率は1.52です。PVに用いられる鉄分の少ない白板硝子もほぼそれに近い数値です。
    Phobicon41の屈折率は1.40でありガラスよりも低く、それによって反射率も小さくなります。
  • 光の波長に対して適切な膜厚であること。
    屈折率n1、膜厚dのフィルムが光の波長λに対して以下の式である場合に透過光は光の干渉によって増幅されます。

    d = λ / 4 / n1

    太陽光で最も強い光は黄色の555nm波長光です。
    従ってPhobicon41の膜厚が100nm前後の場合、透過光は増幅されて強くなります。
どれくらいの期間性能が持続しますか?
塗膜は無機系なので長寿命です。
Phobicon41は15年以上の耐久性があります。Phobicon43もほぼそれに近い耐久性が期待されます。
ただし、Phobicon43をフロントガラスに塗布しワイパーを動作させた場合、ワイパーに付着した砂塵などによりガラスの表面とともに摩耗します。
保存は出来ますかか?
未使用ならば製造後2年まで使えます。
長期間使用していない場合は使用前によく攪拌して下さい。スプレー缶の場合は良く振って下さい。
使用途中の状態で保存した場合はノズル部分が固まることがあります。申し訳ありませんが、その場合は再使用が出来なくなりますのでご注意下さい。
【2】 用途について

塗ってはいけないものってありますか?
以下の用途には使用しないで下さい。

1) 人体や動植物
有害物質は含みませんがすべてのコート材は呼吸器系などにダメージを与える可能性があります。
2) 食べ物、食器や調理器具など
毒物ではありませんが、消化器系などにダメージを与える可能性があります。

※ ただし調理器具類についてはデータ取得が出来れば使用出来る可能性はあります。
基本的に安全な物質で構成されている上、耐熱性も300度以上あります。例えばフライパンのテフロンコーティングにダメージが出来油が付着するようになった場合にPhobicon43で補修できるようになるかも知れません。
データが出るまでは使用不可という扱いです。

衣服にもコート出来ますか?
技術的には可能です。
衣服などに塗布した後の洗濯耐性も30回以上あります。
しかしPhobicon系は剛直な構造を作りますので繊維の柔らかさが損なわれる恐れがあります。
【3】 施工について

注意点は何ですか?
通常の溶剤系塗料と同じです。
溶剤系ですので火気や作業環境などには気を使いますが特別な注意はありません。
スプレーボトルは良く振ってから使用して下さい。
スプレー以外にもディップ、ロール、ナイフコートなど様々な塗布方法が選べます。
1Lの塗料でどれくらいの面積に塗れますか?
フロントガラスのような平滑な基材なら1%濃度品1Lで10m2以上に塗れます。
繊維系など浸み込むような用途では使用量が増えます。
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