最も重要なことは鏡・ガラス表面をクリーンにすることです。
表面に油やほこりが付いていたり、スケイルがあっては水膜の広がりをピン止めしますので曇り止めは困難です。
傷が付いていてもピン止め効果が起きます。
ガラスクリーナー
最もポピュラーな方法はガラスクリーナーを用いてガラス表面をクリーンにすることです。
しかし、界面活性剤系のガラスクリーナーでは油分や埃は除去出来てもスケイルや傷に対してはあまり効果がありません。
研磨粒子入りのガラスクリーナーはスケイルの徐子が可能です。
しかしあまり研磨しすぎると細かな傷が増えてしまい水膜の広がりに支障が出ます。特にダイアモンドクリーナーでフロントガラスを磨くことはお勧めできません。
STAOFJAPANのお勧めはPhilicon 13です。
ナノ粒子による傷のつかない機械研磨に加えて化学研磨作用があり、研磨直後のガラスは超親水性である程度曇りにくくなります。
しかし、Philicon13を用いてガラスを研磨しても研磨直後から汚れが付き始めます。スケイルも成長します。
そして曇り易くなります。
それを防止する為に曇り止めコーティングが必要なのです。
界面活性剤コーティング
曇り止めの最もシンプルな方法は鏡・ガラス表面に界面活性剤(石鹸・洗剤)を塗ることです。
界面活性剤が結露水の表面張力を下げるので水滴上にならず水膜になって乱反射を抑制します。
市販のメガネ用曇り止めなどはこの効果を利用しています。
しかし、通常の界面活性剤では結露した水に界面活性剤が溶け込み水とともに流れ落ちてしまう為、数度の結露で鏡・ガラス表面は曇り止め効果が無くなり曇り易くなってしまいます。
超親水性コーティング
超親水性コート材表面に結露した水はコート材表面に広がることでお互いが繋がりほぼ均一な膜厚の水の層になります。
表面が平滑なので反射光や透過後鏡表面で反射して戻った光は曇りのない平行光として目にする事が出来ます。
ただし結露水量が十分でない場合は、水膜が超親水コート表面を覆いきれず若干の曇りが生ずることがあります。
湿度がある程度低く、超親水コート材表面にゴミや異物が付着した場合、光の散乱になりますが、異物の量が少なければほぼ曇りのない状態に見えます。
ネットではよく超親水性表面の異物等は水をかけると異物の下に水が入り異物を浮かせて洗い流し、クリーンな表面になると書かれていますが、完全には正しくはありません。
無機物や油のような異物では水が異物下に浸み込みやすいですが、有機物の中にはガラスや超親水コート表面に強く付着し水に浮かないものもあります。
化学的には炭酸基、カルボキシル基、リン酸基、亜硫酸基をもつものが代表です。それらの結合力は水よりも強いです。
具体的にはシャンプー・リンス類や洗剤などにそういう基が含まれていることがあり、乾燥するとガラス・超親水コート表面から離脱しにくくなります。
超親水表面に異物が強く付着した状態で結露が発生すると水滴は異物に邪魔されて平坦になるまで広がる事が出来ず曲面を形成してしまいます。
その結果、光の散乱が起こり曇りとして視認されます。
水の量が異物の高さを乗り越えるくらい大量であれば連続した水膜が形成されるので曇りは消え去ります。しかしある程度乾燥が進むと水膜は再び不連続になり曇りが生じます。
強く付着した異物を取り除くための機械的作業が必要です。
酸化チタンなど光触媒を用いて異物を分解する技術もありますが、屋内では紫外線量は屋外の0.1%しかなく光触媒も十分に機能出来ないことが多いです。
吸水性コーティング
吸水型の曇り止めコート材は超親水コート材と働きが異なります。
吸水層表面が平滑な場合、結露した水は吸水層に(部分的に)取り込まれ、平滑な表面を形成します。
従って反射光は平行光となり拡散=曇りのない状態になります。
一部のサイトでは吸水の限界を超えると曇りが出ると書かれていますが、実際は、余剰な水は吸水層表面に一度留まりますが、次第に表面張力で集まり流れ落ちます。
また、吸水層が鏡・ガラス表面から剥離するとも書かれていますが、これは材質次第で改善出来ます。
吸水型コート材に異物が付着した場合は超親水コートは超親水コート材と同様に若干の散乱が起きます。
異物が付着した状態で結露が生じた場合、結露水は異物の無い吸水層表面から浸み込みますので平坦な表面を維持し易くなります。
従って超親水コート材よりも異物がある場合の曇り止め効果に優れた結果が得られます。
ただ、吸水型コート材は有機物系が多く、異物を取り除こうと強く擦るとダメージが起こり易いです。