【1】 品番
代表的なB2C向けの品番を紹介します。
含浸型は織物、紙、木材、コンクリート、瓦など水が浸み込む基材に適し、超撥水化剤が含浸した後乾燥することで基材を超撥水化します。Phobicon6x系はそのような吸水性基材に用いることで擦れに強い超撥水性を発現出来ます。
一方Phobicon8x系はそれら吸水性基材に加えてガラス、プラスチック、金属板など水が浸み込まない基材に対しても表面に被膜を形成することで超撥水性を発現します。
Phobicon62及びPhobicon87はフッ素系である為、現在は供給を停止しています。
B2C向け品番 | フッ素 | タイプ |
Phobicon60 | 非フッ素系 | 含浸型 |
Phobicon62 | フッ素系 | 含浸型 |
Phobicon80 | 非フッ素系 | 被膜型 |
Phobicon87 | フッ素系 | 被膜型 |
【2】含浸型超撥水化剤 Phobicon6x サンプル動画
コンクリート
コンクリート壁に塗布しています。
本来はコンクリート表面を洗浄してから塗工すべきなのですが、今回は省略しています。
スプレーノズルの具合が悪く均一の塗布が出来ていませんがブラッシングにより馴らしています。
ブラッシングはPhobicon6xシリーズ特有の工程であり、基材にPhobicon6xの成分を刷り込むようなイメージです。基材によっては必ずしも必須ではありませんが品質の安定性の為に推奨します。
元々Phobicon6xシリーズは乾燥すれば直ちに超撥水化します。ブラッシング工程は乾燥前でも乾燥後でも任意です。全ての工程を含めても極めて短時間で超撥水が得られます。
コンクリート
表面が平滑ではない素材の一つとしてコンクリートブロックです。
表面の凹凸があるため、小さい水滴は窪みに捉えられて転がらないことはありますが、コンクリート内には浸透しません。
むしろ技術的には平滑な表面の素材よりも超撥水化させ易いです。
ただ、塗液がコンクリート内に吸われるので平滑な素材よりも面積当たりの塗料の必要量が大きくなります。
コンクリートの耐酸性雨性向上や海水飛沫による劣化、防汚などに役立つと思います。
右の写真はイメージです。
外壁
コンクリートと類似した用途ですが、美観目的です。
色にこだわる場合は難しいですが(着色は可能)、白い外壁の場合はより白く見せる事が出来ます。病院など清潔感を強調したい建物にも向いていると思います。
防カビ・防コケなど水気を好む微生物などに対しても効果がありそうです。
※ 右の写真はイメージ画像です。
ベランダ (1)
水平なはずですが水滴がゆるゆると動くのが見えました。建物の施工チェックに使えるかも知れません(笑)。
風が吹けば水滴はさーっと動きます。エアホッケーのような感じです。
ただし、本来はベランダは望ましい用途ではありません。頻繁に住民が踏みしめるとナノ構造が壊れ超撥水性が失われます。
これはあくまで実験です。
※このビデオで用いた超撥水コートは旧品番で、現行品よりも白みが強いです。
ベランダ (2)
同じくベランダです。
豪雨をイメージして大量の水を流してみました。
通常の撥水材料よりも水が表面に残りません。
日傘
麻製の日傘に塗布しています。日傘なので開口部のあるメッシュ構造です。一応撥水加工しているようですが水が浸み込みます。
右の動画はスプレー塗布後のブラッシングの様子です。
Phobicon6xシリーズではこのブラッシングによって塗膜の品質が向上します。
最初に水を掛けた部分はPhobicon62を塗布していません。向かってその左3つの区画に塗布しています。
孔の開いた生地なのでPhobicon62を塗布しても暴風雨のようなジェット水流の場合は裏に水が若干抜けます。しかし通常の雨ならば傘表面は水滴の無い状態が保たれます。
傘生地の折り目に水滴が付いているように見えます。
しかし水滴は引っ掛かっているだけで浸み込んでいません。少し傘を傾けたり衝撃を与えるだけで水滴は飛びます。
傘
よく雨天に外から建物内に入ると傘を振って水切りしますが、超撥水コートがあればその必要はありません。折り畳み傘ならそのまますぐにバッグに入れることも可能です。 実は建物や店の入り口に置いてある使い捨て傘袋は海洋汚染になっているマイクロプラスチックの一因です。
ただ、デザイン重視の高級な傘には使用しない方が良いです。白を混ぜたような色合いになります。 ビニル傘でもいいですが、布製の傘の方が耐久性に優れます。傘は雨が上がると丸めたり畳みますが、ビニル傘だとその際に擦れが出ます。 布製は布の繊維が保護してくれますので何度も折りたたんだりしても使えます。
1本の傘に使う超撥水コート材は60-100g程度です。
右の動画はコーティング剤よりもコーティングを施した傘のプロモーションです。
しかし消費者が自分で塗布しても本動画に近い性能が得られると思います。
段ボール箱
段ボール箱の向かって右半分に塗布しています。
通常面は水が浸み込みますが塗布面は完璧に水を弾きます。
シューズ
シューズの色が白いので見えにくいと思いますが、向かって左は塗装無し、向かって右にPhobicon62を塗布しています。
シューズの網目が大きいのでブラッシングが難しく網目の底の方はブラシが届きません。
それでも通常のシューズは水が浸み込みますがPhobicon62を塗布した方は水を弾きます。
シューズ
スポーツシューズです。
オレンジ色の方に施工してあります。
元が鮮やかな色のせいか超撥水コートの曇りが気になりません。
綿のシャツ
コットンTシャツです。
木材
Phobicon60/60EはPhobicon80系同様フッ素フリーです。
60の溶剤は消防法非危険物になる水・アルコール系ですが60Eはアルコール系であり消防法の危険物に該当しています。
しかし80L未満の場合は貯蔵・取扱に関する
届出は不要です。
Phobicon60系は含浸型の超撥水化剤であり、いわゆるコーティング剤とは少し異なります。
吸水性のある木材やコンクリート、紙、繊維系、石材などに使用出来ますが、金属やガラスなど緻密で吸水しない基材には不向きです。
しかし基材内部に浸透して機能する為、超撥水剤の問題点とされる耐擦過性をあまり気にしません。
擦り強度は基材のもつ強度に準じます。
ここでは木材に対して使用しています。Phobicon60系は最終的に燃やしても二酸化炭素、水、シリカになりますので
Phobicon60系が含浸した木材の廃棄処理も比較的簡単です。
Phobicon60系はクレオソート油、CCA、AAC、ACQ、CUAZなどのような木材防腐剤としての作用はありませんが、
木材が水を吸わなければ木材腐朽菌の繁殖条件を満たしにくくなり、木材の保存性が高まると思います。
(木材腐朽菌の急速な繁殖条件の一つが木材含水率30%以上です。)
木材
木材にPhobicon62を塗布しています。
手元側(画面では右の方)は塗布していません。水を掛けると塗れます。
手元から遠い方には塗布している為水が弾かれます。小さい傾き角度でも水は高速で転がる為確認が困難なくらいです。
超撥水コート剤は耐擦過性に乏しいと言われますが、この木材を紙でゴシゴシ摩擦しても性能は影響を受けません。
Phobicon62を用いて超撥水化処理を行った木材に粘土を押し付けてみました。
写真の左側は無垢の木材で、粘土の一部が木材に付着しています。
写真の右側が超撥水化した杉材ですが強く粘土を押し付けても容易に剥がれます。油紙に粘着テープが粘着できないような感触です。
石材
石材の種類は非常に多くあるようですが、その中で代表的なものとして堆積岩から砂岩(サンドストーン)、火成岩から過花崗岩と御影石(御影石は花崗岩に分類されますがここでは別に取り扱いました)、変成岩から大理石を選んで試験しています。
石材によって超撥水化の難易度が変わるので、使用した材料にはPhobicon87、Phobicon62が混在しています。
Phobicon62など6x系は正確にはコーティング剤ではありません。基材に含侵させて超撥水化させます。上手い言い方が無いので動画の中では「(含浸型)超撥水化剤」と言う表現を用いています。
含浸型は主として吸水性のある基材に対して有効です。塗布し乾布などで刷り込むことで即時超撥水性が発現します。
石材も実は吸水性がありPhobicon87だけではなくPhobicon62が有効な場合もあります。
紙
Phobicon80を紙や布に塗布すると水は全く吸水しないが油をよく吸う選択的吸収シートになります。
右の動画では前半は色付けした水に塗布された紙を浮かべ全く塗れないことを確認した後、水面に調理油を垂らし、塗布された紙が水の上の油だけを吸う様子が見れます。
海面上に流出した油の回収や湖沼の水質改善等の用途が考えられます。
【3】被膜型超撥水コーティング剤 Phobicon8x サンプル動画
回路基板 (1)
PCのマザーボードに塗布しています。
電子用途はハロゲンフリーが原則です。フッ素は例外扱いされることが多くありますがやはりフッ素フリーの方が好まれるでしょう。Phobicon80はフッ素フリーなのでこの用途に適しています。
優れた超撥水膜の上では水滴がプラスチックの玉のような挙動をします」。
デスクトップPCでは超撥水コートは必要ないかも知れませんが、対象はノートPCです。ノートPCのキーボードの下にはマザーボードがあり、うっかりお茶などをこぼすとノートPCは終わります。その危険防止です。
ODU(Outdoor Unit)など屋外の電子機器にも使えると思います。
回路基板 (2)
同じく回路基板です。
電子機器を水中に落としたら?のシミュレーションとして塗工されたマザーボードを水に浸してます。
1日くらいなら浸していても引き上げると表面に湿気はありません。ショートも起きないと思います。
回路基板 (3)
試験用のLEDを実装した回路基板に超撥水コートし、水に漬けています。
防水性が悪ければ短絡を起こしLEDは消灯しますが、24時間以上LEDは点灯し続けました。
各種平板
ほとんどの動画で同じことなのですが、素材の傾斜が小さくても超撥水コート上では水滴は高速で転がるので非常に視認しにくいです。
その為、このビデオではやや赤い色をつけた水を使用していますが、それでも目で追うのは困難かも知れません。
使用した素材はガラス、瓦、ブリキ板、真鍮板、塗装鋼板、木材、PPC用紙の7種です。
それぞれ向かって右側が塗装面です。
PETフィルム
PETのようなフィルムにも塗工出来るのか?という疑問にお答えしてコートしてみました。
スプレーではなくナイフコートという塗り方をしてます。簡単に言うとカッターナイフの刃で塗りつけてます。
特に問題なく塗布出来ています。
どちらかというと平滑面のカテゴリーです。
※このビデオで用いた超撥水コートは旧品番で、現行品よりも白みが強いです。
ガラスシャーレ
Phobicon80EはPhobicon80同様フッ素フリーです。
ただし溶剤がアルコール系であり消防法の危険物に該当しています。その為貯蔵や輸送に制限がかかります。
どちらかというとB2B向けの型番ですが、金属製エアゾール缶であればB2Cでの輸送は可能なようです。
溶剤組成による取り扱いの制約が発生しますがそれと引き換えにかなり透明性の高い塗膜が得られます。
いくつかの用途が考えられますが、フッ素フリー+高透明超撥水塗膜ということで浮遊培養容器がかなり相性が良いと思われます。
茶漉し
もはや超撥水のデモンストレーションで定番と言われる茶漉しです。
コート後は「茶漉せず」になります。
実はこれは平滑面に比べると易しい技術なのですが、初めて見る方にはインパクトがあるようです。